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用語解説公開 2026-10-14

拡散度尺度(Breakout Scale)とは | 影響工作がどこまで届いたかを6段階で測る物差しと、読むときの注意

3行で捉える

  • 拡散度尺度は、偽アカウントや偽装した組織による影響工作が、どこまで広がったかを1から6の6段階で測る物差しです。
  • SNSの一角にとどまるか、主流のメディアに取り上げられるか、著名人や政治候補者に拡散されるか、政策や行動を引き起こすか、で段階が上がります。
  • 測るのは届いた範囲で、人の考えがどれだけ変わったかではない、と当サイトは読みます。誰がどんな証拠で判定したかも合わせて読みます。

意味

英語ではBreakout Scale。breakoutは、外へ抜け出すという意味で、工作が最初に仕掛けられた場所から、どれだけ外の世界へ抜け出したかを見ます。2020年9月に、偽情報の調査に携わってきた研究者のベン・ニモ(当時は調査会社Graphika)が、シンクタンクのブルッキングス研究所から発表しました。

影響工作の報告は、ともすると偽アカウントを何百個見つけた、投稿が何万回見られた、といった数字で語られがちです。でも、偽アカウント同士で見せ合っているだけなら、外の世界には届いていません。拡散度尺度は、数の大きさではなく、どこまで抜け出したかで工作を比べるための物差しです(影響工作とは)。

6つの段階

カテゴリー1。一つのSNSの、一つの集団の中にとどまる。

カテゴリー2。一つの集団のまま複数のSNSに広がる、または一つのSNSの中で複数の集団に広がる。

カテゴリー3。複数のSNSで、複数の集団に広がる。

カテゴリー4。SNSの外へ出て、主流のメディアに取り上げられる。

カテゴリー5。著名人や政治候補者など著名な人物に拡散される。

カテゴリー6。政策の対応や具体的な行動を引き起こす、または暴力の呼びかけを含む。

(各段階の説明は、提案者の論文の要約を当サイトが訳したものです。)

2026年10月に、何が示されたか

10月8日、OpenAIは、二つの影響工作に使われたアカウントを停止したと報告し、この尺度で評価しました。架空の人物を通じてシンクタンクを支配していたと見られる工作はカテゴリー5。複数の国の政治家による公の発言につながったことを示唆する証拠があるためで、同社が報告を始めて以来、阻止した工作がカテゴリー5に達したのは初めてだ、としています。架空の記者名で記事を売り込んでいた工作は、記事の掲載がカテゴリー4、SNSのコメントはカテゴリー2でした(レビュー)。

同じ工作でも、SNSのコメントはカテゴリー2にとどまり、実在のメディアへの記事の掲載はカテゴリー4に達した。一つの工作の中で手段ごとに段階を分けて見られるのも、この物差しの使いどころだと当サイトは見ます。

読むときの注意

届いた範囲であって、効果ではない。段階の定義は、どこまで広がったかで書かれています。当サイトの読みでは、カテゴリーが高くても、読んだ人の考えが変わったとは限りません。逆に、低いカテゴリーでも、狙った少数に深く届いていることはありえます。

判定するのは、報告する側。カテゴリーは、評価する人や会社が、公開情報などから判断したものです。どんな証拠で判定したか、独立に確かめられるかを合わせて見ます。

見えている部分だけ。AIの提供元の報告なら、見えているのは自社のAIが使われた部分です。工作全体の一部だという前提で読みます。

実務では、どう効くか

報告を読む物差しとして。AIの提供元やSNSの会社が出す脅威報告を読むとき、見つけた偽アカウントの数より、どの段階まで抜け出していたかを見ると、比べやすくなります。

自分の会社が入口にならないために。定義から見ると、カテゴリー4以上に進む工作は、本物のメディアや本物の人を通ることになる、と当サイトは読みます。寄稿や取材の申し込み、取引の打診を受ける側は、相手の実在と連絡先を確かめる手順を持っておくことが、工作の通り道を減らすことにつながります。

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Brookings「The Breakout Scale: Measuring the impact of influence operations」(Ben Nimmo、2020年9月)